精神的なストレスの原因

介護職員が精神的なストレスを感じる理由の一つに、介護されるのが「大人」であるということがあげられるでしょう。老人ホームなどの介護施設において、利用者がたとえどんなに重い病気でも、判断力・理解力・知力・体力などが衰えていたとしても、職員は彼らを一人の「大人」として尊敬の念をもって対応しなくてはなりません。
利用者は病気によって脳の機能が衰え、ある程度以上の会話が理解できないのです。はっきり言ってしまえば、理解力が幼稚園や保育園の子供と大差ないといえます。それでも、一人の大人として尊厳を保てるよう、会話や言葉遣いには細心の注意を払う必要があります。敬語を交えて敬称をつかい、それでいてできる限り簡単な単語で会話をすることが大切なのです。
これは、介護職員にとって意外とストレスになります。トイレにもひとりで行けない・言動も幼児と変わらないような他人の食事から糞尿に至るまで、手助けをするのが仕事です。それに加え、相手を大人として人生の先輩として敬えというので、もやもやとした気持ちを抱えている人は少なくないのではないでしょうか。しかし、それは決して口には出せません。
年長者を敬うのは当然であり、介護職は介護が仕事だからと言ってしまえばそれまでです。相手を敬う気持ちがなくなれば、職員が利用者を虐待することにもつながります。しかし、この「大人」として対応しなくてはならないということをうまく受け入れられず、知らず知らずのうちにストレスをためこんでしまう人もいるはずです。